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2009年11月10日

【報告】民主党衆議院議員玉城デニー氏

こんにちは。ネオキの会事務局です。
10月17日に行われました10月のネオキの会のご報告をいたします。


スピーカー:民主党衆院議員・玉城デニーさん




【自己紹介】

デニー:02年9月に、沖縄市議選で当選。そこから政治です。その前は、ラジオ・テレビで13年ぐらいタレントとして活動。その前はアマチュアバンドのマネジャー、喜屋武マリーさんの事務所でマネジャー。その前はインテリア関係の仕事。その前は、老人福祉センターの臨時職員。その前は東京で福祉の専門学校生。
衆院議員の歴史の中で日米の混血の議員はたぶん初めてだろうと(笑)。


【米軍普天間飛行場の移設問題】

デニーさんは選挙期間中に、頭越しの決定でパッケージというのは無理だ、という発言。一方、民主党政権になって、防衛大臣は「県外はムリじゃないか」というような趣旨の発言。鳩山首相は「来年1月の名護市長選と11月の知事選の間で方針を」と。デニーさんは、どうかかわっていくつもりか。

デニー:僕が「頭越しのパッケージは無意味」という風に言ったのは、パッケージがどのぐらいのものを想定するかにもかかってくる。いわば、普天間の返還と辺野古の埋め立てがワンパッケージ、もう一つは普天間返還と嘉手納以南の返還がパッケージ。そのどちらのパッケージも無意味だとはっきり言える。イラク戦争のとき一時期、普天間のヘリ部隊は海外に行っていた、基地の「開店休業」状態があった。そうすると、必ずしも、普天間の20何機のヘリを埋め立てした場所に持っていくという理由はない。普天間の返還を目的とすれば、普天間のヘリ部隊を同盟国に持っていくことが可能だと思っている。移設する目的の辺野古の埋め立ては不要。なくてもいい、という考え。

もう一つは、嘉手納以南の基地返還。そのロードマップで一番必要なことは、働いている人の雇用の受け入れ先の問題。土壌の浄化を含めた跡地利用の具体的な手続き。もう一つは、地権者への補償。これが本当にクリアできるのかがまだ計画自体ができていない。それがないのに先に返そうといわれても無理でしょう。普天間移設と嘉手納以南返還を同時にという、論理的に成り立たないものをパッケージにするのがおかしい。生卵とケーキとパソコンとを一つの箱で梱包するようなもの。単なるアメリカ側からの要求でしかない。



先日、県選出の国会議員でつくる「うるの会」が北沢大臣に、来年度の予算要求の中で辺野古の普天間移設関連の予算は凍結もしくは取りやめにしてくれとお願いした。しかし、北沢大臣が答えたのは、「これは他意のない仮置き。そのまま置いてるだけ。なぜなら、このお金を1円でも落とすことによって、これからアメリカの主要な人たちが日本に来る前に、無用な波風を立たせない。それを今後、どういう風にするのかは、鳩山総理が意見を発表していくので、注視してください。」ということだった。だから、「県外は無理じゃないかな」とかいう発言は、感想として出たことで、あまり騒ぐことはないのではないかという感じだった。

それから、鳩山総理が来年の中ごろに方針を発表すると言った。直近の民意は衆院議員選挙。308議席を民主党がとった。沖縄は当選した4人が、みんな辺野古への基地建設に反対。

これが直近の民意。この声があるから鳩山政権はいま、「辺野古の移設は駄目だ。少し時間を置かないといけません」ということをアメリカの閣僚に言う根拠ができている。その次の民意がどこにあるかというと、来年1月の名護市長選挙。現在の市長は、基本的に移設賛成。ところが、来年1月、私たちはある候補者を応援しようと意思の確認をしている最中だが、その候補者は「県外移設」を民主党政権に対して要求する。鳩山総理も総選挙以前に「県内には移設しない」と発言してきて、総理になってからもその言葉を一応踏襲している。そうすると、来年1月、「県外移設」をうたう市長候補が選挙で勝つことによって、国政の民意と地元の民意が合体する。そして、7月に参院選、11月に県知事選の日程。その7月の参院選前までに、ある一定の方向性を出すという含みで、少し時間を置こうということだと思う。1月の名護市長選で大きな民意を表す結果が出せれば、ほぼその方向性でいくだろうと思う。その間、アメリカとの問題をどうするのか、新年度の防衛予算をどうするのか、さまざまな課題がある。辺野古の問題以外にも現在可及的速やかに話し合わないといけない課題がある。そのために、1月の名護市長選の結果を見れば、アメリカに対して「急ぐ必要はない」ということをわれわれの側から提案できる。それが鳩山総理のいう「来年の半ばぐらいまでに」という言葉の背景にあるかと思う。




Q:鳩山さんが何か言っても、その後でトーンダウンする。不安。結局、なんだかんだ言って、アメリカの言いなりになるんじゃないかと。

デニー:記者のみなさんは、各大臣にぶら下がり取材というのをやる。どこかで会議があると、廊下で「どうですか?どうしますか?」と訊いて来る。そのときに、答えるほうも淡々と答えればいいんだが、記者は淡々と、では済まさない。手を換え品を換え、いろいろ言わせようとする。メディアに対するコメントが、鳩山さんのパーソナリティーの部分でいろんな言葉を出して答えようとサービスるところが、「ぶれ」として捉えられているのではないか。基本的に彼はリップサービスをするタイプの政治家だと思うので、記者に囲まれたらそのリップサービスの部分で、本意以上の意味含みな記事になってしまっているところがあるのではないかと思う。



Q:デニーさんは地元として辺野古を背負っている。「Xデー」までにどう動こうとしているのか。

デニー:10月26日から臨時国会が始まって、常任委員会、特別委員会がスタートする。私は安全保障委員会に配属。そこでどんな議論をするか。もう一つは、沖縄及び北方問題に関する特別委員会(沖北)。その沖北の理事に推薦された。まず安保委の中で、「沖縄選出の議員は普天間については県外・国外が民意だ。それが衆院選で示された結果だ」とやりたい。とはいっても、前政権で駆け込み寺的に辺野古移設の協定が結ばれたので、それをどうやって解いていくかという作業をしないといけない。そのためには、現地を見せるのが一番いいだろう。普天間のヘリ部隊の受け入れ先はどこがあるのか。まずフィリピン。オーストラリア。グアム。ハワイ。国会議員の委員会として、そういう海外の視察をしていこうと思う。同時に、これまで過去に普天間の移設候補地になった伊江島や勝連沖、嘉手納基地、辺野古、そういうところが見たいといえばもちろんいいと思う。そして、その経緯やその地域ではどういう暮らしをしているのかということを含めて現地を視察する。そういう風に議員活動の中で、「県外移設」を具体的に安全保障委員会で検討させていくために、現地視察を提案していきたい。当然、国会議員の中にも、自分の地元のことは知ってるけど沖縄は知らないという人がいるだろう。その方々に、どういう風にして沖縄の具体的な状況を解いていくかと考えた場合に、やはりこの間の沖縄に関する経緯、流れを併せて勉強していただきたいということに尽きる。沖縄に対する理解、とまでいかなくても、現状認識を持ってもらうことができれば、なんでこんな狭いところに、とか、あんなきれいなところに普天間を移設するのという、不条理の認識ができてくると思う。


Q:宜野座村から来た。辺野古のそば。(移設を)誘致している人もいる。この人たちは、単に誘致してるのでなくて、仕事がないから、仕事がほしいから誘致しているだけなんじゃないかと思っている。地元に仕事に少ない。基地以外の仕事ができるという話があれば、基地はいらないとなるのではないか。


デニー:一時的には基地建設によって少し仕事ができるんじゃないかとか、また昔の辺野古の飲み屋街も少しは活気が出るんじゃないか、という話だと思うが、やはり基地以外の仕事がほしいというのが県民の多くの皆さんの気持ちだと思う。基地以外の仕事を見つけるのがどうして難しいかというと、この間、沖縄に振興計画で7兆か8兆円ぐらいのお金が投下されたにもかかわらず、沖縄はまだ課税制度などで優遇されている。沖縄の企業の99%は中小零細企業。名護市、あるいは宜野座村で10人以上雇っている企業といったら、正直に言って土木建設業がほとんどだと思う。サラリーマンという事務職系の人たちはほとんどいないんじゃないかな。その建築土木業の方々にとっての仕事という点で一番必要だと思うことは、「地元がどういう方向性で街づくりを進めるか」ということ。建築土木業への雇用対策がITか?それは違うと思う。それよりも、「力仕事は任せとけ」ということが彼らの自信がある分野。そういう分野での仕事をつくった方がいいんじゃないだろうか。

その点で、一番分かりやすいのが農業。農業が難しいなら造園業。造園業なら、例えばヤンバルの松くい虫対策事業。実は、沖縄の予算というのは内閣府という中でだいたい一括に計上していくのであるが、予算が下りてくるとき各省庁に分割してくる。それでは、本当に必要な予算が現場に下りてこない。それを私たちは、「一括交付金」という、一つの基金というか財布をつくることを考えている。例えば、沖縄県が自由に使えるお金を「特別交付金基金」という財布に100億円入れるとする。この100億円でつくれる仕事は何か、と考えていくことになる。そうすると、地元にいてその仕事ができるだけの予算があれば、彼らに夢を与えることができる。この、予算を獲得するやり方を私たちが政府と交渉しながら、平成23年度から一括交付金を導入するという民主党の方針に従って、沖縄がいち早く、地元の皆さんが「基地はいらない。山を守りたい。一括交付金で建築業者が受けられるような仕組みをつくってほしい」ということを建築業界の皆さんが話し合って、下から上に提案すれば、間違いなく皆さんの仕事になっていく。

こういう自由裁量のお金を、県民のお金をつくるのが、私たちの一括交付金の考え方。99%が中小零細企業の沖縄で、本当に仕事ができるような予算をどこから持ってくるか、ということを考えないといけない。だから、基地がなくても、地元のみなさんがこういうことがやりたいということをきっちりと吸い上げて、お金(予算)があれば仕事ができるという状態の受け皿を提示して、「それをやってください」という考えに近づける政権をつくっていきたい。地域の人たちの方が、近くの山の状態とか植生とかよく分かっているので、地元企業への優先発注などは地元の利を生かせることができる。


Q:予算の使い方を決める人たちはどうなるのか。北部振興事業で、9割補助でハウスをやったが、傾斜地ではダメで、平坦にしてしまった。ヤマトの業者が「無理だ」と。でも、沖縄の業者は「建てられる」。場所を換えることもできない。融通の利かない補助メニュー。


デニー:補助を出す代わりにこういう条件に合わせてやりなさい、ということになってしまっている。今までは、国でつくって、平たくして、沖縄の事情も北海道の事情も関係なく、全国一律にやってきた。地域の農業もそれで衰退してきた。法律が地域の実情に合わなくなってきている。農業の話になるが、民主党は「戸別所得補償制度」を創設しようと提案している。例えば、材料費や人件費でかかった経費がもし市場価格を上回ってしまったら、これを補償しようと。過去2年分の生産者価格をもとに、市場価格との差額を補償する。そういう風に、地域の実情に基づいて制度を変えていく必要が現実的にある。市町村議会の議決、県議会の議決があれば、地域の皆さんの代表が決めたことなので、国が法律を変えて、補助率を変えて、予算額を変えていく。そういうことを一つひとつやっていこうと。ひいてはそれが、基地をつくらなくてもそういう事業で地域を支えることができる。基地を造る経済的必要性はどこにあるのか、となる。そういう素朴な疑問があればあるほど、基地じゃなくてこっちだよ、という機運が増えるほど、「基地は要らない」という皆さんの中での合意を形成していくプロセスになる。


Q:そういう素朴な疑問をみんなで話し合う場をつくってほしい。役場でもやらないので。
Q:選挙中にデニーさんは土木建設業界をずいぶん口説いた、と聞いた。

デニー:口説いた、というより、話を聴きたいと呼ばれた。彼らは、与党としての自民党はもう終わっているので仕事がこれからどうなるのか、という心配もあって。「デニーさんどう思う?」って。沖縄の労働の少なくとも3割は建築土木関連。タイル屋さんにしても、植木屋さんにしても。正直言って沖縄で無駄な公共事業はないと僕は思う。しかし、無駄な部分がある事業があるなら、その無駄な部分を削ってやろうよ、ということを民主党は言っているんだと。それで、後になって分かったのは、公共事業の予算が来る場合、沖縄県の予算の公共事業と国の予算の公共事業がある。沖縄県の予算は、沖縄県内の業者が90%とっている。でも、国予算の事業は51%しか県内企業がとっていない。残りの49%を県内企業がとれるように努力することの方が、予算を増やすよりもっと意味のあることではないですか、と。よし、面白い、勉強しましょう、ということになって、国交省の官僚から「なんで県内企業がとれないのか」と聞いたら、「経営審査のポイントがある」と。これだけの金額や規模の工事をするときは、これとこれとこれを積み上げてという。それが沖縄県内の企業にない、足りていない、という。じゃあ、そこまで下げたらいいんじゃないかと言うと、法律の改正が必要だという。法律改正でできるなら改正しようよ、と。ポイントの基準を下げて県内企業も参加できるように。特殊的な技術が要るなら、それはそれで別に発注しようよ、と。「特殊技術以外の項目については県内の業者にもできますね」と言ったら、「それはできると思います」とはっきり言っていた。それを僕は、そういうようなことをその時に話して彼らは安心した。

僕も以前、内装業をやっていた。僕のいとこの実家は家族経営で建設業をやっていた。民間の建築業者は、本来、民間できちんと仕事を請けることができれば、何の問題もなかった。しかし、姉歯の耐震偽装事件以降、建築基準法が改正されて、ガチガチに固められてしまった。県内企業は、審査に時間がかかってしまって、受注できてもお金が回らなくなった。中小零細企業の建築業者は大変。これも、建築基準法の改正ではなく改悪、だからどんどん見直しましょうと。見直しでもっとスムーズになる。県内に落ちる金は県内の企業でとりましょうと。県内の中小零細企業には、滞っている建築確認申請の業務を簡略化して、書類審査とかも減らして、きちんとできるようにしましょう、と。官僚は、これまで地元の与党の国会議員の言う地元の声を聞かないわけにはいかない。防音工事でも、来年度予算も減らすというので、机を一回たたいたら2億円。これも概算要求なので、削られるかもしれないが、とりあえず必要な分はつけてみてということ。ただ、これはあくまでも概算要求。戦後最大の95兆円になっているので、そこからどれだけ削られるか。前回の麻生政権が出したのが88兆円。臨時国会が始まったら自民党、公明党が叩いてくる。それに対してどう削減するのかというのがある。とりあえず叩いてみて、叩かれてみて。制度の改正が必要なら目標は制度の改正。法律でがんじがらめになっているところが多いなら、その法律の問題を解消するために、建築業者の皆さんの話を聞いて、ぶつけていく。




Q:沖縄がというか日本が、普天間の移設先まで準備しなくちゃいけないのか。グアムへの移転とか。その辺が悔しい。
Q:沖縄に海兵隊を置いておく意味が、米軍にとってない。最初に突撃していく部隊。日本の安全保障にも関係がない。海兵隊の基地を県外だとか国外だとかに移設するということを、一生懸命考えていく必要が本当はない。


デニー:移設先の用意は必要なのかというと、必要ないと思う。ただ、アメリカの議会対策だと思う。日本の議会がここまでやって、はいどうぞ議論を、という形を持っていかないと、おそらく向こうの議会が、日本の議会のプロセスはどうなんだ、となる。グアムなり本国に持ち帰ってください基地は要りません、という風になったときに、民主的な手続きがこれまでの自民党政権で一切とられていないので、民主党政権はそもそも民主的なプロセスから入ってるよ、と。国内で議論を持ちました、あちこち見ました、と。しかし、沖縄に要らないということが私たちの最終的な結論だと導ければ、この民主的なプロセスは、絶対にアメリカは無視できない。いまは交渉で外交的な話をしているので、金額の話なんかになっているが、それを議論として別の角度で交渉できる。例えば、グアムの皆さんはインフラ整備を必要としているので、水とか電気のインフラ整備を、日本がグアムの皆さんのためだけにお金を使わせてくださいということになれば、日本の技術支援、民生支援になるので、この議論は一つできる。これは軍事ではなくて民生支援。どれだけ民主党政権がアメリカに対して提供することができるか。新しく誕生したオバマ政権にだから、言うことができる。あくまで、民主的なプロセスのための手続きだと思っている。私たちは視察しましたよ、という。今回の安全保障委員会の議員にも同じような頭を、議論の基礎部分を、つくってもらわなくてはいけないと思っている。


Q:グアムとかフィリピンでも、なぜ私たちのところに持ってくるの、という意見も出てくる。その国との関係も悪化するかも。そこまでやらないといけないのか。

デニー:フィリピンに、ということは私たちからは提案できない。ただ、私たちはその基地を見ておかなくちゃいけないだろうし、その国の大統領や議員の皆さんとも意見交換をする必要はあると思う。「提案」する必要はない。「検証した」というプロセスが大事。アメリカに対して、彼らが考えていることと同じ議論までレベルを高めていかないといかない。




【泡瀬埋め立て問題】

Q:デニーさんは選挙中に、泡瀬は「1区推進、2区中止」と。民主党県連は「1区中断、2区中止」と。

デニー:民主党県連は、沖縄ビジョン2008策定のときにいろいろ議論をして、泡瀬は「1区中断、2区中止」と書いて、見直しなどについては今後も検討する、とした。民主党本部のマニフェストでも、無駄な公共事業は中止・廃止、自然再生型の公共事業をする、と書いている。実は、泡瀬の東部海浜開発の問題というのは、1970年代から話が始まって、1988年ぐらいに今のような計画が始まった。その後、90年代に入って、「出島方式」になった。また、90年代に入って、中城湾港の特別自由貿易地域の航路が浅いため、浚渫する土砂の行き場がないから、これを泡瀬の東部海浜地区で受け入れるんならやりましょうという話になって、そこで工事が始まった。しかし、その187ヘクタールを埋め立てて造る上物事業は、私も02年に沖縄市議会に当選した後に詳しく調べてみたら、この187ヘクタールに5つのホテルとコンドミニアムを誘致して、平均5.4泊させて、ホテルの稼動率が80%という数字で、そこに2000人の雇用が生まれるという、バブルが弾ける前の青写真のままで進めているということを知った。もはやあり得ない事業だということは誰でも分かった。そこで、賛成か反対かと言ったら、私は反対です、という立場をとった。議会でも計画見直しを訴え続けた。将来の市民負担にならない方がいいと言い続けてきた。ところが、結果的に当時の仲宗根市長が契約をしてゴーサインを出した。その間も、止められるものなら止めた方がいいんじゃないか、やらない前に止めることが肝心だ、と言ってきたが、工事はどんどん進んでいき、国の工事が始まり、訴訟も始まった。原告団は、ユンタクシジミとかニライカナイゴウナとかトカゲハゼとかそこに住んでいる生き物たちにも権利があるということも含めて訴訟をやった。事業そのものは採算性がない、無駄な支出だから公金支出は止めろという形で裁判をやってきた。その経緯などがあって、泡瀬の問題がいま取りざたされている。



私は最初から、この計画は見直した方がいいと思っていた。今の東門市長が06年4月の市長選挙に立候補したとき、私たちは東門市長を応援する側に回った。東門市長には市民の一部から、泡瀬干潟埋め立てを見直して、という気持ちも託されていた。ところが、そのときの選挙を支えた母体にはいろいろな人たちがいて、1区だけでもやってくれとか、いや止めようとかいろいろあり、東門市長は「私が当選したら埋める埋めないも含めて、市民の意見を聞いて判断する」ということを公約として掲げた。当選してから東門市長は、市民会議を興して、いろいろな意見を聞きながら、泡瀬をどうするかということを検討してきた。ところがその間も工事はどんどん進む。1区工事の海側の方から埋め立て工事が進んだ。東門市長が決断したのは07年12月、1区工事(96ヘクタール)は推進せざるを得ない、しかし、2区(91ヘクタール)に関しては、80%が干潟にかかって生き物たちを殺すということと、泡瀬の通信隊の保安水域に2区の30~40%ぐらいの土地がかかってしまうので、それが米軍への新たな土地提供になってしまうのでまかりならん、ということもあって、2区は困難と発表した。

私たち民主党県連も、現地の視察も含めていろいろやったが、08年の沖縄ビジョンで、「1区は中断、2区は中止」と書き込もうとしているときに、東門市長は1区は推進だが2区はやらない、とはっきり言っていたので、僕からも、地元の多様な意見を踏まえて「中断」ということを書き込まないでくれということを申し入れた。「中断」というのは中途で断念する、ということ。もしそれを書いてしまったら、民主党県連の総意と県民に思われてしまうので、「そう書かないでくれ。もっと多様な意見を汲んでほしい」ということを随分議論し、要求した。しかし、折りしも民主党の政策は、「国の無駄な公共事業は止めろ」というときで、民主党沖縄県連もそれに倣うということによって決を採り、反対が玉城の1、ほか賛成多数、で「1区中断」という文字表現になった。それで、民主党県連はビジョンの中で「1区中断、2区中止」ということで総選挙に臨んだ。そして、前原大臣は9月17日の就任記者会見でこれを発表した。

それを聞いて僕が前原大臣に言ったのは、「1区中断、2区中止」の「中断」の中には、僕と沖縄県連の間で議論した経緯があって、「中断」とは書くけれども、市民の皆さんの声を尊重して、「中断」ということは「いったん立ち止まって考える」ということでいいんじゃないか、という考えも含める方向性で、ビジョンには書いたらどうかということだと。それで、前原大臣に直接お会いして、「中断はいったん立ち止まってもう一度考えてみよう、地域の行政、沖縄市の声、沖縄県の声を聞いたうえで判断しようということも踏まえている」、ということですと確認させてもらった。前原大臣はそのことを理解していただいて、それからは「『1区中断』は『中止』ということではありません」ということをはっきり言った。前原大臣は、「いったん立ち止まって、沖縄市はどうする、県はどうする、地域の皆さんはどうするか、しっかり定見をもって考えて下さい」ということを先日の東門市長との面談のときにもはっきり言った。いま沖縄市は百人委員会をやっていて、1区の土地利用計画についていろんな意見を出している。最初の5案が4案になり、2案に絞られてきた。判決に関しては、司法判断は尊重すると思うが、尊重したうえで沖縄市、沖縄県が国土交通省、沖縄担当大臣とどういう協議をしていくか、というのが現時点までの状況。




Q:判決が出たが、なお1区は推進するべきだと考えるか。

デニー:はい。目的を明確にしてやった方がいいと思う。


Q:判決の内容を見ても変わらないか。

デニー:それは司法判断をどういう風にとらえるか。いろいろ解釈がある。当事者である沖縄市、沖縄県がどうとらえるか、上告するかしないかも含めて。上告しないならどうする、するならどうする、というのもあると思う。僕は、司法判断は出たけれども、こちらからやりなさいとかどうしなさい、というのは言いたくない。なぜなら、これは沖縄市民の皆さんならだいたい分かると思うけど、泡瀬の問題は経済活性化に関わる問題。仕事がほしい、街の活性化の刺激がほしい、1区だけでもやってほしい、2区は中止で景観は守られる、という市民の声はある。一方で、いや判決に従って止めるべきだという意見もある。そういう中で、市長は政治生命をかけて判断するわけだから、市長がどういう判断をするのか、私たちは待つしかない。




Q:市議会に推進の市議が多いとか、仕事が必要だ、という状況はよく分かる。しかし、埋め立ては一回性。埋めた後で進出企業がぜんぜんない状況。判決では、経済的合理性の話が出た。状況が変わっている。国の収支、地方の収支を見ないと、夕張のようになるというのは10年前には考えられなかった。最高裁までやるのは大変な話。土木建設業については、造ってしまったものをどうやって取り除くか、という技術をそこで創り出す、そこで仕事を創る方法はある。亜熱帯の海の自然回復工事。まだやられていない。環境に負荷をかけずに造った物を取り除く技術をここで開発できれば、土建業界の一つの発展方向をつくれるのでは。

デニー:それは僕もいつも考えていること。本来、僕も反対派。だけど、沖縄市はどこにも出て行けない。がんじがらめ。嘉手納基地に30%ぐらいとられていて、一番街や銀天街もそうだけど建物はすでに老朽化した地域。公共事業にこそ活路を求めたいということで、ものすごく四苦八苦しているのが沖縄市の現状。国のメニューを引っ張ってくるのに、場所や課題をうまくつくれないという状態。だから、沖縄市内の建築業者はうるま市で仕事をとっている現状がある。うるま市の方が、区画整理もやっているし、道も造ってるし、学校は造り替えてるし、ということで、沖縄市には仕事がないことが現実として大きい。私は、なんで反対派のデニーが1区推進かというと、どういう形であれ市民が決断をし、市民の責任の下でこの工事をやり終えたほうがいいと思うから。市民が決断することが一番大切だと思う。市民が本当に「やるな」と言ったら、やらない方がいい。ただ、やらないからといって、新しい公共事業をください、とか、国が金を出してあの埋め立てられた土砂を取り除く、かというとそれは無理でしょう。国がやろうといった事業を、いや私たちは要りませんというなら、それに代わるものを国に求めても、いろんなことで問題がこじれてくる。市民の皆さんは、泡瀬に希望を描きたいとずっと思ってたわけです。今までのものは取り除いた方がいい、という意見があってもいいと市民は思っている。だけど、自分たちの責任を問われて、その後片付けを自分たちの責任でやる、というのは難しい。であるならば、市長の判断に対して、県も国もしっかり責任を持ってやろう、前原大臣も「長期的に見てペイできるものであるかどうかをじっくり精査したうえで、沖縄市、沖縄県でよく話し合ってください」という。つまり、あなた方が決めるものなら、私たちはそれでいいと思いますよということ。というのは、1審はすべて公金の支出差し止め。2審は、調査とか人件費は出してもいいと出た。2審は、「あなたたちが決めなさい」ということだと思う。1審と2審では明らかに違う。だから僕は、おそらく最高裁まではいかないと思うし、行かなくても自分たちで結論を出そう、と沖縄市は判断するのかなと思う。もし私が市長だったら、そういう判断をしていると思う。市民の皆さんにあらためて問いかける。やりますか、止めますか。そういう決断をおそらく東門市長は、次の市長選挙で問うのだろう。やりたいというならそういう形で出るでしょうし、そこで市民の皆さんのいろんな意見も出てくる。このとき、じゃあどうするかというのは、市民がその選択の責任を負う。


Q:なおも1区工事を進めた場合のメリットとデメリットは。

デニー:確実なデメリットは、借金を背負う、自然を壊す。メリットは、そこに沖縄市が事業を進めるということに市民の総意をつくることができれば、それは後々の市民自治の形にあって、歪な形ではあるけれど、方向性を示せる大きな決断の結果となること。これ以上、干潟を埋めたりすることはない。埋め立てる土地もない。沖縄市は国際文化観光都市という名称をうたっているが、空港通り近くの人に話を聞いたら、嘉手納基地の中にショッピングモールみたいなのができて、その中に百均も入っているらしい。基地内に兵隊を囲い込む状況になってきている。おそらく基地経済というのは基地の中だけにお金が落ちるようになって、基地の門前町は将来成り立たなくなるのが目に見えてきている。今まで愚痴を一言も言わなかったインド人のオーナーでさえ、「もうダメ、もうダメ」。いつまでも基地の存在に頼らず、国際文化観光都市を標榜するのであれば、基地がなくても住めるような、異国情緒が楽しめるような、テーマパークのような場所に作り替えていくほうがよほど経済効果があるだろうと思う。ところが、そこから胡屋十字路からくすのき通りの方に行くと、ここをいま拡張工事している。高原交差点から先もたぶん拡張工事していくと思うが、将来はもっと導線を太くしていって、海側と陸側をつなごうということが総合計画として進んでいる。だから、この道路でつなぐだけでも、泡瀬1区は造って、観光客がしっかりと海と陸を行き来する、固定客も持ちたい、そこでいろんな業種が寄ってきて雇用が生まれる方法を探したい、というのが東門市長の考え方。そうすると、メリットは、将来に陸と海がリンクするメーンストリート街のコンセプトが進んでいくこと。デメリットは、どっちにしても借金を背負うし、やがて嘉手納基地の前のゲート通りが衰退していく可能性。しかし幸いなことに、ゲート通り商店街はよそから来た人もケアしながらみんなでイベントをつくっている。オーナーの方々も街づくりに協力しようという気持ちがある。そう考えると、ポテンシャルに関しては、街のいまの経営者たちが持っているにしても、導線の力、財政的な力などが後々必要になってくる。泡瀬とまちなかをどうつないでいけるかというのが、国際文化観光都市をこれからつくっていく場合のポイントになってくる。




Q:中断した場合に、国から損害賠償を求められることはないのか。

デニー:前原大臣からはそういうことをやるという話は聞いていない。逆に言うと、沖縄市はこれから先、自分たちでどうしたいのか明確に出しなさいということ。市民の皆さんも覚悟して決めてくださいよ、と。そのぐらい、国の状況が大きく変わりつつあるということ。


Q:沖縄市では、キジムナーフェスタにはよく行くし、すごいイベント。そういう国際都市のアピールに意味があると思うので、もうちょっと干潟でなんとかできないかなあと思う。干潟の生き物と触れ合ったり、エコツーリズム的なものとリンクさせて売り出すとか。政治家には、生活保障と同時に、夢を与えれくれるものがほしい。

Q:
こどもの国もいい。

デニー:僕は風呂敷があまり大きくないので大きな話はできないけど(笑)。こどもの国に象を引っ張ってきた前の西川専務理事さんはすごかった。1人の人が持っている熱意は大きい。東門市長は、泡瀬の1区を埋め立てたとしたら、一つは観光客を呼び込むことと、もう一つはスポーツコンベンションを考えているという。市長としては、こどもの国とリンクさせて泡瀬に国の希少種を研究したり体験したりできるような研究体験センターをぜひもってきたい、という話をしていた。僕が市議会にいたときの話だが、沖縄市内の小学校の体験学習で、1校も泡瀬干潟で体験学習するところがなかった。よそに行って勉強している。市側にも体験学習できる干潟、という認識がなかった。知らないのは、やっぱりそこで学ぶ体験がないから。学術的に体系的に、研究、体験できるところをつくろうという考えが、東門市長の「スポーツを中心としたコンベンション」という中にある気がする。やはり、希望をつくりたい。干潟を埋めることで環境に負荷を与えるが、その上には希望をつくりたい。沖縄市内にコンベンション、500人規模の会議ができるホテルがない。寝泊りもしながら、自然科学の学会の発表会ができるような場所。だから、本当に自然科学を研究するなら、せめてそういうものを一つ誘致したい。そして、将来的には科学技術大学院大学の研究施設。ここから子どもたちが大学院に進んでいけるような研究施設のありようを、残された干潟でつくっていくことができないか、と夢が膨らむ。埋めれば終わり、ではなくて、埋めた後に何を持ってくるか。そこから先に進めていく、将来にわたってペイできるものというのが、前原大臣の言葉に、夢や思いも含まれているのではないかと、僕はポジティブにとらえている。


Q:沖縄はどこも埋め立て。自然を元に戻す公共工事が必要。希少価値のある生き物を研究する建物をつくっても、なんでその下に死骸があるか。そういうことはやらないで、干潟で泥んこで遊ぶ海があるというのが教育では。

Q:東門市長は「推進する」と言って当選したのではなくて、抜本的に見直すと言って当選。あの市民会議の議論も、「なんで進まないのかを検証する」という問題の立て方だった。「やるべきかどうかを考えましょう」ではなくて。そうすると、市民の民意で決めたことと言えるのかどうか。

デニー:たしかに、本質的な指摘ではある。ただ、今回の衆議院選挙でマスコミは「争点は泡瀬と辺野古ですよね」といってきた。もちろん、泡瀬も辺野古も選挙の争点には入っている。でも、優先する争点は何かというと、「生活」なんです。本来争点になるべきことが争点にならずに、これをやるかやらないかというのに対して、「争点はこうあるべきだ」とマスコミがそういう方向に行こうとする。僕はあえて「争点は生活だ」とマスコミに言い続けた。今回の選挙のテーマは、生活が第一で、生活をたて直すために政権交代をするということであって、泡瀬や辺野古は一つの争点。しかし、その方向に誘導しようとする。そうすると、僕はマスコミとも戦わないといけない。それはそれで大切だけれど、ウチナーンチュが沖縄で普通に生きていける政治につくり変えることができるのか、というのが僕の大きな公約であり、果たしたい責任。その課題の中に米軍基地問題や泡瀬もある、と言い続けた。しかし、彼らからは答えがない。彼らが争点立てしていることと僕の答えが合わない。ベクトルがずれたままだった。



【最後に】

Q:普天間移設問題。総選挙では名護の周りの人に「政権交代で変わるから」と呼びかけた。でも、この12年悩まされて、政府のやることを信じられなくなっている。いいこと言ってるけど、裏に何かあるだろうと。一縷の望みを託した結果がデニーさんの当選につながったと思う。北部の人が基地に頼らない何かを求めている証拠ではないか、と。でも、いま毎日、新聞に一喜一憂するような内容が載る。民主党に変わってからの方が、チムドンドンが大きくなっている。期待が大きいので。普段は賛成派とお酒を飲んでいるような人でも、今回デニーさんに入れている。だから、約束は守ってほしい。時間がかかるのは分かる。時間をかけて、一生懸命やる中で、いろいろあるのも分かるけど、努力しないで、鳩山さんの「時間の経過で変わる」とか出るとすごくショック。頑張ってるよね、と思えるように、頑張って。


デニー:僕らも毎日、新聞を開けて一喜一憂。情けないけど。辺野古に基地を造らせないという思いでやっているが、勝連沖とか、あっち、こっちがいいというものもいる。勝連沖なんて、僕らには聖地も聖地。一縷の望みを託されているということは、もちろん厳粛な気持ちで受け止めている。時間はかかるかもしれないけれども、防衛大臣であれ、沖縄担当大臣であれ、総理大臣であれ、僕は党内野党になってハッキリ言っていきたい。頑張りましょうね。





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